Posted on

海外で着物や帯など「和素材」のバッグを展開するブランド「MEINFINITY」明子さんへのインタビュー

Kimono bag designer

「ハンドメイドの作品を、日本から海外に広げていきたい」。 ECサイト「NiJi」には、そんな思いで創作活動する実力派アーティストが多数在籍しています。このページでは、所属する作家や作品の魅力を深掘り。第一回目となる今回は、着物や帯など「和素材」のバッグを展開するブランド「MEINFINITY」を主宰するデザイナーの明子さんに話を聞きました。

MEINFINITYのインスタグラム

オンラインストアはこちら。

Q/美しい和柄のバッグが、現代的でとても印象的です。着物や帯でバッグを作るようになったきっかけは?

近年は日本人であっても日常生活で着物に直接触れることはあまりありません。「着てみたいけど時間もお金もかかるし、高級なので敷居が高い」。私もそう思っていた一人です。

転機は、リサイクルの着物専門店へふらっと入ったこと。その時、初めて着物をじっくりと手に取って見入ったんです。着物に対する知識は全くない状態でしたが、手に取った商品に引き込まれ「この花の模様、すごくかわいい!」って感動しました。無知だからこそ和風柄というより、一つのデザインとして目に飛び込んできました。特に気に入った帯を手に持って、鏡の前に立つと直感的に「クラッチバッグだ」と感じ、この新しい発見がうれしくなりました。早速、帯や羽織を購入。自宅でバッグを作りました。

Q/もともと、小物を作るなど洋裁の経験はあったのですか?

実はゼロスキル。「作ってみたい」という気持ちが高ぶり、家庭用ミシンを買うところからスタートしました。ミシンも着物も初心者の状態だったため、週1回のペースで着物屋さんに通いながらの作業。店に集まっている女性客たちが「生地が厚いからミシン針はデニム用がいい」など、うんちくを交えながら、いろいろと教えてくれました。そんなアドバイスを受けながら、なんとか形にしていきました。

Japanese kimono bag designer

Q/行動力に圧倒させられます。最初は趣味からのスタートだったのですね。その後、販売に至る流れについて聞かせてください。

サンフランシスコに住んでいるアメリカ人の友人の誕生日にプレゼントしようと思い、バッグを作りました。それがインスタグラムに一番初めて載せたものです。とりあえず作ったから記録用としてアップしました。今考えると、型紙なしの簡単なもの。ただ、その時は自分の中で上出来だったので、例の着物屋さんに持っていったんです。すると、お客さんとして来られていたおばさまたちに「こんなの買った人はかわいそう」と、ネガティブな意見の数々…。すごく腹が立ち「絶対に見返してやろう」と思いました。

Q/原動力の一つになったのですね。この段階では趣味としての制作で、販売などはしていなかったのですか。

はい。趣味の一つとして作っていました。その後、たまたまガレージセールに参加することになり、初めて販売しました。すると芸大生たちが喜んで買ってくれたんです。自分が作ったものが売れて、認められたことがとてもうれしかった。

その後、少しずつ作ってはインスタにアップしていると外国人の反応が良かったんです。「これはいけるかも」と、フランスやニューヨーク、カナダ、タイ、韓国に住む友人に送って感想を聞かせてもらいました。すると、日本人とは全然違う反応で、作品を「デザイン」として見てくれるんです。日本人は「着物の柄」として見るのですが、外国人は固定概念がない分、純粋に評価してくれました。

また、日本の血が入っているミックスの人たちは、私のバッグを持つことで「自分のアイデンティティーの確立の一部になった」「日本のものを持っていることが誇りに思える」と言って喜んでくれました。これを聞いたとき、ただのバッグとして以上の価値があると確信しました。

Japanese kimono bag designer

Q/日本と海外での反応の違いから、作品の価値に気づかれたのですね。

はい。この経験から、ビジネスにするためブランドを立ち上げました。

そこで、以前から、着物を販売する外国人が多数いることをリサーチしていたニューヨークへ渡りました。

毎日、自作の一番派手なバッグを手に、ニューヨークを歩き回りました。日本が好きそうな人に話しかけたり、いろんな人にDMを送ったり…。日本好きが集まるジャパンフェスにも参加しました。

Japanese kimono bag designer
Japanese kimono bag designer

Q/日本との違いをどのように感じましたか。

日本では若者は違うかもしれませんが、一般的に着物に対してのルールが厳しいです。季節で纏う柄が異なり、着用できない時季も多い。築き上げてきた伝統がある分「ファッション」として見れない方が多数います。

しかし、私はこの柄たちを「デザイン」「ファッション」として発信したい。だからアメリカに行かなければいけませんでした。日本とは全く違う感覚で受けいれてくれるという事実を、ニューヨークで証明できましたね。

Japanese kimono bag designer
Japanese kimono bag designer

Q/明子さんの内面の強さを感じます。ご自身がそこまでのめり込む「着物の魅力」は何だと思いますか?

着物は「日本画」を身に着けているようなもの。柄の一部分を切り取ると、まさにアートそのものです。私はそんな着物に魅了され、ファッションとして取り入れやすいように、現代風にアレンジして発信しています。

日本人には「どうやって合わせてよいか分からない」とよく言われます。リサーチすると、「素敵だし持ってみたい」という感情はあるものの、他人の目が気になるという人が大勢いました。要するに「他人が使ってないから、使いづらい」ということ。しかし、外国人は「人からどう見られるか」ではなく「自分がどうしたいか」という指標で行動します。「可愛いと感じたから、使う」。いたってシンプルです。

Japanese kimono bag designer

Q/となると、顧客のターゲットは海外でしょうか。

SNSで発信すると、興味を持つ人の多くは外国人で、特に欧米の人が多いです。この2年間、ニューヨークと日本を行き来し、反応の違いを痛感しています。

私は、求められているところで輝きたい。日本ではネガティブな言葉をたくさん受けました。しかしニューヨークに場所を移すと一変した事実から考えても、まずは海外での展開すべきだと思っています。

Q/海外に詳しいですし、海外在住の友人も多いですね。また、すぐに行動されるパワフルさに圧倒させられます。

海外デビューは8歳。両親が応募した静岡県主催のプログラムで、春休みに船でサイパンとグアムを巡りました。その後も、中学1年生の時に姉妹校だったネパールに交換留学したり、2年生の時にはハワイへ研修旅行に行ったことがあります。それらの経験から、幼い頃から日本と海外との違いを認識していました。

なので「なぜ髪を染めてはいけないのか」「ピアスはダメなのか」「先輩後輩の規律って必要なのか」など、日本特有のルールに対して多くの疑問がありました。

その後、大学生や社会人になってからも海外での経験を活かして日本と海外を行き来していました。海外へ行くときは、常にワクワク感があります。行動すればするほど、知り合いが増えて、繋がりができます。現地の人から誘われると、まずは「イエス!」。即行動しています。

Q/躊躇せず行動できるパワーの源は何だと思いますか?

何事も自分で決めて行動していると、周囲の人たちが自然と助けてくれるんです。協力してくれる人のおかげで行動ができています。外から見ると、全て一人でやっているように見えるかもしれませんが、賛同してくれる人がいてこその自分です。

あとは反骨精神ですね。否定的な意見をぶつけてくる人に対して、結果を出して、見せてやりたいと思っちゃいます(笑)。

Q/最後に今後の展望を聞かせてください。

より深く着物やマテリアル(生地などの素材)について学びたいです。そして、縫製は洋裁の腕も、得意な叔母に手伝ってもらいながら、スキルを磨いています。

また、「質の良い生地や糸を使用していること」「特殊な織り方で作られた貴重品であること」など、特別感を前面に押し出したいと考えています。外国の方々にデザイン性に加え、日本人が大事にしてきた伝統文化であり、模様一つ一つに込められたストーリーを理解してもらえるように工夫していきます。

日本に留まっていたら光が当たらないコトやモノも、海外に向けて発信することで輝けることを証明したいです。素晴らしい伝統文化が、私が海外へ持ち出すことで、大きく広がっていく未来を見ることができたら幸せです。

MEINFINITY Kimono Bag

今回、明子さんへのインタビューを通して行動力と自分のコンセプトを貫く大切さを教えて頂きました。

日本国内でハンドメイド作家として活動しているが、今後は海外にも展開してみたいと考えているアーティスト様は市場調査やプライベート旅行を兼ねてでもいいと思うので、実際に現地に出向きどういう人が住んでいてどういうデザインで価格帯の商品が実際に現地で販売されているのか?をご自身で見てみることをお勧めします。

また言語の壁があるかもしれませんが、携帯の翻訳機能を使ってお店の人に話しかけてみると新しい発見やアドバイスがもらえるかもしれません!

nijiでは海外へご自身の作品を販売してみたいという作家様へオンラインマーケットプレイスを展開しています。

ご興味のある方は是非お問い合わせください。

Email : niji@japanese-artist-popupshop.com

ホームページ

インスタグラム